PER・PBR・ROEなど主要な株式指標を完全解説!
株式投資において、企業の“価値”や“投資魅力”を判断するために使われる指標は数多く存在します。特にPER、PBR、ROE、ROAなどは初心者からプロまで幅広く活用される基本中の基本。この記事では、PER、PBR、ROE、ROA、EPS、BPS、PSR、配当利回り、配当性向、PEGレシオ、PCFR、理論株価といった主要な株式指標について、それぞれの意味、計算式、基準となる数値や具体的な見方まで、わかりやすくかつ実践的に解説していきます。
複数の指標を組み合わせて判断することで、より精度の高い企業分析が可能になり、自分に合った投資スタイルを確立する大きな一歩になります!
📊 PER(株価収益率)
PER(Price Earnings Ratio)は、株価が企業の1株あたり純利益(EPS)の何倍かを示す指標で、企業の“割安・割高”を判断する基本中の基本です。
PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり利益)
目安と考え方
- 5倍以下:非常に割安だが、赤字・業績悪化の可能性あり
- 10倍前後:バリュー株に多く、安定企業
- 15〜20倍:日本株の平均水準(業種によって異なる)
- 30倍以上:成長期待が大きい企業。将来性を織り込み済み
注意:赤字企業はEPSがマイナスとなり、PERが「–」や「算出不可」となる場合もあります。
📘 PBR(株価純資産倍率)
PBR(Price Book-value Ratio)は、株価が企業の1株あたり純資産(BPS)に対して何倍かを示します。
「会社の解散価値」に対して、どれだけ市場が期待を上乗せしているかがわかります。
PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たり純資産)
目安と考え方
- 1倍未満:解散価値よりも安い=割安。ただし不人気・衰退リスクも
- 1倍〜2倍:標準的な評価水準。中堅企業などに多い
- 2倍以上:成長期待が高い、もしくはブランド価値が高い
金融系や製造業など、業種によって基準が異なるため注意。
📈 ROE(自己資本利益率)
ROE(Return on Equity)は、株主が出資した資本(自己資本)に対して、どれだけの利益を生み出しているかを示します。
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)
目安と考え方
- 5%未満:資本効率が悪い可能性あり
- 8〜10%:平均的な日本企業の水準
- 15%以上:非常に効率的な経営。米国の成長株に多い
株主にとって「どれだけ効率よく利益を出してくれる企業か」を見る重要指標です。
📉 ROA(総資産利益率)
ROA(Return on Assets)は、企業が持つすべての資産を使ってどれだけの利益を出したかを示します。
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100(%)
目安と考え方
- 3%未満:非効率な経営
- 5%前後:平均的な企業
- 8%以上:資産を活かした高効率経営。高収益企業に多い
ROEとのバランスも重要で、ROEが高くROAが低い場合はレバレッジ(借金)で利益を増やしている可能性があります。
💡 EPS(1株あたり利益)
EPS(Earnings Per Share)は、株主1人が1株あたりどれだけの利益を得ているかを示す指標です。
EPS = 当期純利益 ÷ 発行済株式数
EPSは「企業の稼ぐ力」を示し、毎年成長しているかを見ることが重要です。
💼 BPS(1株あたり純資産)
BPS(Book-value Per Share)は、純資産を株数で割ったもので「1株あたりの簿価的な価値」を示します。
BPS = 純資産 ÷ 発行済株式数
倒産時などの「下限価値」を示す意味でも使われます。
💬 PSR(株価売上高倍率)
PSR(Price to Sales Ratio)は、売上に対して株価が何倍で取引されているかを見る指標です。まだ利益が出ていない成長企業などでも使われます。
PSR = 時価総額 ÷ 年間売上高
目安
- 1倍以下:割安。収益化次第で化ける可能性も
- 1〜3倍:安定企業
- 5倍以上:期待値は高いが割高リスクもある
💰 配当利回り
配当利回りは、投資金額に対する年間配当収入の割合です。「株の利息」のようなイメージで、インカムゲイン重視の投資家に重宝されます。
配当利回り = 年間配当金 ÷ 株価 × 100(%)
目安
- 2%未満:低配当
- 3〜5%:高配当株として注目される
- 6%以上:極めて高利回り。減配リスクもチェック
🏦 配当性向
配当性向は、企業の利益のうちどれくらいを配当に回しているかを表します。
配当性向 = 配当金総額 ÷ 当期純利益 × 100(%)
目安
- 30〜50%:持続可能な還元率
- 70%以上:やや高すぎ。利益圧迫に注意
- 100%以上:利益以上に配当を出しており、注意が必要
📐 PEGレシオ
PEG(Price/Earnings to Growth)レシオは、PERに対して利益成長率を加味することで、成長企業の割安性を測る指標です。
PEG = PER ÷ EPS成長率
成長株の妥当性判断に非常に有効です。
目安
- 1倍未満:割安で魅力的
- 1倍前後:適正評価
- 2倍以上:過熱・割高懸念
📊 PCFR(株価キャッシュフロー倍率)
PCFR(Price to Cash Flow Ratio)は、企業のキャッシュ創出能力に対する株価の評価を測る指標です。
PCFR = 株価 ÷ 1株あたり営業キャッシュフロー
利益操作の影響を受けにくいため、実態をつかみやすい指標としてプロも注目します。
目安
- 10倍未満:割安
- 10〜20倍:平均的
- 30倍以上:割高水準
🔍 理論株価とは?
理論株価は、DCF(割引キャッシュフロー)法などを使って企業の将来の利益や成長性から「妥当な株価」を算出したものです。
計算が複雑なため、証券会社や分析ツールを利用するのが一般的です。理論株価と実際の株価を比較することで、今が“買い”なのか“売り”なのかの判断に活用されます。
✅ まとめ
本記事で紹介した指標を通して、企業の“数字”を多面的に評価できるようになります。ポイントは、ひとつの指標だけでなく、複数を併用することです。
- 利益:PER・EPS・PEG
- 資産価値:PBR・BPS
- 収益性:ROE・ROA
- 成長期待:PEG・PSR
- 株主還元:配当利回り・配当性向
- キャッシュ実態:PCFR
本記事で取り上げた指標は、企業を評価するための多角的な「物差し」です。企業の収益性、資産価値、株主への還元性、成長性など、異なる観点から分析することで、より立体的な投資判断が可能になります。
たとえば、PERで割安だと思っても、ROEやROAが極端に低ければ経営効率が悪い可能性があり、配当利回りが高くても、配当性向が100%を超えていれば持続可能性に疑問が残ります。一方、PEGレシオやPCFRといった、成長やキャッシュフローに着目した指標を併用することで、単純な「安い」「高い」では見えてこない真の価値が見えるようになります。
大切なのは、1つの指標だけに頼らず、複数の指標を組み合わせて総合的に判断すること。そして、自分の投資目的(キャピタルゲイン重視なのか、インカムゲイン重視なのか)や投資スタイル(短期・中長期)に合った指標を選び、継続的に見ていくことです。
株式市場には情報があふれていますが、数値という“根拠”をもとに判断できるスキルを身につければ、情報に振り回されることもなくなります。
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